前歯の差し歯は、保険内のプラスチックから保険外のセラミックまで、今や様々な素材を選べるようになりました。やはり一番体に負担がなく、健康な状態が長く続く治療や素材を選択したいですよね。
歯科の先生はその最善の治療を患者さんに提案してくれますが、治療費だったり体質・歯の状態によっても、治療方法は最終的に自分で選択しないといけません。
治療を受ける際に悩みの種になるのが治療にかかる費用のことではないでしょうか。自分で決めるのは中々判断が難しいですよね。
管理人は今年前歯二本が神経の治療が必要な虫歯になって、合計約30万円の費用でオールセラミックの差し歯にしました。
その時は一括で払えるお金も無かったのでローンで払っているのですが、この決断をするのに約3ヶ月悩みました。。
それまではスマホを買い替えたり、パソコンの新しいのが欲しいなーなんて色々考えていましたが、一気に全部吹き飛ぶことに・・・(TヘT )(泣)
しかし前歯の差し歯は治療をしっかりしないと、劣化してもろくなったり、色が変わってしまう場合があります。そうなると笑った時の印象も変わってしまいますし、食事も食べ辛くなると、美味しさが減ってしまうのはけっこう辛い…。
将来の事を考えると、最善の治療方法を選んでおいた方が、結果的に長持ちして、総合的にかかる費用が安くなるかもしれません。もし前歯の治療で、金額などの面で悩んでいる方は、ぜひ参考にされてみてください。
今回は、前歯の差し歯の種類の違いや、かかる費用について、詳しくご紹介いたしますね。
差し歯は保険内と保険外の治療があります
前歯は虫歯になって神経を取る処置が必要になったり、何かにぶつけた拍子に折れてしまったりしてしまった時、差し歯にする治療が必要になる場合があります。
差し歯の治療方法は前回にこちらの記事
前歯の虫歯は放っとくと大変な事に?!治療方法を画像付でご紹介
でもご紹介しましたが、前歯を根本まで大きく削ってしまうため、けっこう大がかり。
保険内と保険外で治療はどのように違うのかといいますと、ざっくり言うと
- 土台や被せ物の材質
- 接着剤の種類
- 型取りの方法
などが違います。多くの歯科は神経の治療までは同じですが、保険内と保険外ではその先の処置が少し変わってきます。
(神経の治療も最先端の精密機器を使って保険外で治療をされている歯医者さんもあります。治療方法は気になったら詳しく歯科に尋ねてみてください。)
治療にかかる総額ではおおよそ
- 保険内で1本 1万円程度
- 保険外だと1本 5万円〜15万円程度
の費用がかかります。※歯の状態や歯科の診療費用の設定などでも違いがあります。
保険内でも1万円〜と、差し歯の治療になると結構お高くなります。それぞれどのように違うのか、詳しく見ていきましょう!
保険内の費用や治療方法は?
保険内だと、
- 金属のメタルコア
- プラスチックのレジンコア
- プラスチック素材の硬質レジン
- 表がプラスチックで裏が金属になっている硬質レジン前装冠
という材質が使われるのが一般的です。
土台も被せ物もプラスチックのレジンのみだと耐久性があまりありません。使うことが出来る部分は、前歯で、噛み合わせに力がかからない場合などに限られます。
そこで一般的なのが、金属の土台+金属とプラスチックの被せ物です。ほとんどの症例に使用することが出来ます。
それぞれの特徴と費用の目安についてご紹介します。
【土台(コア)】
メタルコア 2,000円〜
保険の治療では、歯に入れる土台はこのメタルコアという銀合金の素材が使われてるのが一般的です。
金属なので丈夫な反面、歯に大きな力が加わった際、弾力性がないため歯に負担がかかって、割れやすくなってしまいます。
また金属なので時間が経つと腐食して黒ずんできます。歯や歯茎の変色をおこしたりする可能性があり、金属アレルギーにも注意が必要。
日本ではこの保険ではメタルコアが一般的ですが、歯根破折(歯の根が割れてしまう)がとても多いそうで、海外では、ファイバーコアが主流です。
歯医者さんの中でも保険内ではメタルコアを使わず、レジンコアにしているという所もあります。出来れば保険外のファイバーコアの土台にしておく方が、歯を長持ちできます。
レジンコア 1,500円〜
かみ合わせなどで力があまりかからない所では、歯科の先生の判断で、レジンコアが使われる場合があります。
材質は歯科用プラスチックのレジンだけのものから、金属のポストと言われる軸を入れて強度を高めるものもあります。
しかしこのレジンの治療は金属の土台と違い、歯医者さんの技術によって仕上りにも違いが出てしまう場合があります。
腕の良い歯医者さんで施術してもらえたらいいのですが、保険内だと中々丁寧に診てもらえないことが多いです。もし保険内での治療をご検討でしたら、このレジンコアで腕のいい治療をしてもらえる歯科を探してみると良いかもしれません。
【被せ物(クラウン)】
硬質レジンジャケット冠 3,000円〜
前歯の1番から4番(中切歯から第一小臼歯)まで入れることができる硬質レジンジャケット冠。歯科用のプラスチックオンリーで作られた被せ物。セラミックのように自然な透明感はありませんが、歯に近い色を再現できます。
金属を使っていないため、金属アレルギーの方や、歯茎が黒くなるリスクが抑えられます。しかし
- すり減りやすい
- 強度が弱い
- 汚れが着きやすく、変色しやすい
というデメリットがあります。4,5年で変色も目立ってきてしまいますので、セラミックに取り替える方も増えてきているそう。
強度にも不安があるため、歯医者さんでも使用には慎重な所が多いそうです。
硬質レジン前装冠 5,000円〜
保険適用の前歯の差し歯で一般的なのがこちらの硬質レジン前装冠です。
こちらは銀合金素材の金属に、前から見える部分だけ歯科用プラスチックが貼り付けられている被せ物です。管理人の通っている歯医者さんでは、保険の差し歯はこの硬質レジン前装冠のみでした。
金属素材を使用しているので、強度はプラスチックだけのものより断然しっかりしています。しかし、時間の経過と共に酸化して、歯や歯茎の黒ずみ、金属アレルギーの原因にもなってしまう場合があります。
こちらもレジンを使用していますので、変色し易く、裏が金属なので、透明感がありません。
硬質レジン前装冠を装着している前歯の画像はこちらを参考にしてみてください。根元が黒ずんでしまっているのが多いです。
保険外の費用や治療方法は?
保険外だと、
- 金属のメタルコア・ゴールドコア
- セラミックと強化ガラスの芯のファイバーコア
被せ物は
- 金属を使用しないオールセラミック・ジルコニア
- 表がセラミックで裏が金属になっているメタルボンド
- 表がセラミック+レジンで裏が金属になっているエステニア
という材質が使われています。(歯科によって扱っていないものもあります。)
【土台】
ゴールドコア 約3万円〜
貴金属でも使われる金合金で作られており、メタルコアよりも柔らかい素材のため、歯が割れにくいです。酸化によって、歯や歯茎の変色はしにくい性質があります。また金属アレルギーの発症リスクも少なくなります。
オールセラミックを入れる場合は透けて見えてしまうことがあります。
ファイバーコア 約1万円〜
歯医者さんが差し歯の土台でオススメしているのが、こちらのファイバーコアです。海外の歯科治療では、このファイバーコアを使うのが主流だそうです。
こちらはグラスファイバーというガラス繊維強化樹脂の芯と、強化プラスチックのレジンを使った土台。ファイバーコアのメリットは、歯に一番近い硬さで、しかも歯になじみやすいので、神経を抜いた歯に、強度をつけてくれる所。
金属の土台は硬すぎるため、歯との相性が悪く、割れてしまう症例がとても多いそうですので、歯を長持ちさせるということでは、一番歯に優しい素材です。
【被せ物(クラウン)】
オールセラミック 12万円〜
オールセラミックは名前の通り、金属を使わず、セラミック(陶器)素材のみで作られている被せ物です。
こちらは金属を全く使用しないので、透明感があり、レジンと違って水分を吸って変色することがありませんし、汚れもつきにくい。そして仕上りも自分の歯と見分けがつかないくらいに自然になります。
欠点は、セラミックは天然の歯より若干固いので、かみ合わせの歯を痛めたり、セラミック自体が割れてしまう事があります。
管理人も以前一番奥の歯をセラミックにしたら、5年程で欠けてしまったことがあります。前歯は奥歯よりもかかる力が弱いので、ぶつけたり、固いものを噛んだりとよっぽどのことがなければ大丈夫だと思いますが、注意する必要はあります。
しかしセラミックの被せ物の中では、このオールセラミックが一番歯に優しい素材です。
ジルコニア 10万円〜
ジルコニアという材質はダイヤモンド代わりに使われるくらいとても硬く、セラミックよりも丈夫で割れにくい素材で、日本では2005年から使われるようになりました。
透明感はセラミックの方が高く白さが強いので、奥歯に使われる事が多いです。前歯の被せに使われるジルコニアは、前から見える部分にはセラミックが焼き付けてあり、裏側と内部がジルコニア素材になっています。
金属を使わないので、金属アレルギーの心配もありません。最近はセラミックでも割れにくい強度のあるものが出てきており、歯医者さんでも前歯はオールセラミック、奥歯はジルコニアを薦めているところが多いです。
歯より硬いので、かみ合わせの歯や、歯根が痛まないように注意する必要があります。
メタルボンド 8万円〜
金合金などの金属に、前から見える部分にセラミックを焼き付けてあります。保険内の硬質レジン前装冠の素材が良くなったバージョンです。
こちらの方が見た目も良く、セラミック部分の変色の心配が減りますが、やはり中に金属を使用しているため、歯茎の黒ずみ、金属アレルギーのリスクがあります。
ハイブリッドセラミック(エステニア)4万円〜
こちらはメタルボンドと同じように、金属の中身に前から見える部分にハイブリッドセラミックというセラミックにレジンが配合されているものが焼き付けられています。
保険外では他のものより比較的安く作ることができます。保険のレジンの前装冠よりも見た目はセラミックが配合されていますので、きれいに出来ます。
しかしレジンが使われているので、年月が経つと変色してしまい、また金属が使われているので、歯茎の変色や、金属アレルギーのリスクが高まります。
保険内と保険外、どっちを選べばいい?
保険内と保険外では、素材の他に治療方法も、保険外の方がしっかり治療してもらえます。上にも書きましたが、主に
- 型取り
- 接着剤の種類
も保険内と保険外では違ってきます。
まず型取りですが、保険外ですと、歯肉圧排(しにくあっぱい)と言って、歯と歯茎の隙間に糸を巻いて、歯の境目までしっかり型取りして、残っている歯と隙間をピッタリ合致するように型取りをして貰えます。
保険外の治療では、コストの問題などから、型取りも精密でない場合が多く、微妙に合ってないことが多いそうです。そうなると、そこから細菌が入り込み、二次虫歯のリスクも高くなってきてしまいます。
そして、土台と被せ物をくっつける接着剤も、保険のものだと、年月が経つと溶けてきてしまう接着剤が使われています。保険外の接着剤は水に溶けない性質があり、歯と被せ物の間に隙間なく密着しているので、取れにくくなります。
その点でも数万円高くなっても、保険外の治療を選択しておいたほうが、歯を長持ちさせることができます。
土台と被せ物はファイバーコアとセラミックが長持ち?!
差し歯の治療で、気を付けたいのは、年月が経つと折れるリスクが高まってくるという所です。前歯一本にかかる力は大体10kgから20kg。
神経を抜いた歯は、枯れた木の枝と同じように、水分や栄養がなくなってもろくなり、10年程で折れるリスクが高くなってしまいます。今まで大丈夫だったのに、ちょっとしたことで折れてしまう可能性も!
根元の歯が折れてしまうと、最悪抜歯が必要です。ですので神経を抜いた歯は、いかにして長持ちさせるかが運命の分かれ道。
ファイバーコア+オールセラミックにした場合、再治療が必要になった場合だと、ファイバーコアの土台がそのまま使える場合が多いそうです。
しかしファイバーコア+メタルボンドなどの金属だと、取り外す時にファイバーコアを傷つけてしまう可能性が高く、土台も治さないといけなくなってしまう場合があります。
そして気をつけたいのは、保険内と保険外の治療は混合診療になってしまうので、2016年の時点では違法になってしまい出来ません。
つまり土台をしっかりしたものがいいから、保険外のファイバーコアの土台に、保険内の被せ物を付けることが出来ないそう。
ですので可能なら、最初から一番良いものを取り付けておいたほうが、結果的には歯を長持ちさせて、お金も後々かからずに済みます。
支払いが難しい場合はデンタルローンがおすすめ
保険外は一括払うのは中々難しい金額だったりします。そんな時は、キャッシングや、カードの分割払いだと、手数料がけっこうな金額になるので、歯医者さんと提携しているデンタルローンがおすすめです。
こちらは手数料が他のローンに比べて安く、最高80回払いくらいまで対応してたりもします。
管理人は30万円を約三年の36回払いで、手数料が2万円程でした。
詳しくはかかりつけの歯医者さんにお問い合わせしてみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
調べてみると、日本の保険内の治療はけっこう素材も良くないものが使われていたり、二次虫歯もとても増えてきています。
歯にあまり良くない治療方法がされており、ちょっと高くても保険外の治療にした方が歯には良いという事がわかりました。
自分の歯を出来る限り残していつまでも美味しくご飯が食べられる治療と考えると、投資だと思って、保険外にしておいたほうがいいかもしれません。
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