貴様の意味って本来は尊敬語だった?!正しい二人称の使い方とは

よく「貴様」って呼び方、マンガなんかで相手に罵り合ってるシーンなんかでよく見かけますよね。

しかし漢字だけを見てみると、相手に敬意をあらわす「貴」と、敬称としての「様」が付いているので、実は相手に対してすごい敬った言い方をしてるのでは??と思ったことはありませんか^^;?

日常会話では滅多に使わない言葉というか、相手に使うとだいぶ失礼、というかケンカを売ってしまう感じの二人称「貴様」

今では日本語をよく分かってなかった学生が就職の面接の際に、何でも「貴」をつければいいと思っていたのか、面接官に向かって「貴様」と言ってしまった強者もいたそうです…。(苦笑)

今回は貴様の語源と意味、そしてついでに正しい二人称の使い方も一緒にご紹介しちゃいます!

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貴様の意味は昔は尊敬語だった?!

武士

「貴様」という言葉の由来は古く、室町時代の末期には既に使われていました。主に男性が目上の人に対して呼ぶ敬称で、武家が書く手紙などで使われていた言葉だったんです。

次第に日常会話でも使われるようになったのは江戸時代の前半からで、その時も相手に高い敬意を示す呼び方として定着していました。「貴様」は、文字通り「貴方様」という丁寧語だったそうです。

それから江戸時代中期以降になり軽い敬称として、そして後期にもなると対等の立場の者や目下の者に対して罵りの言葉としても使われるようになってきました。

ちなみに「お前」という、ややぶっきらぼうな相手の呼び方も、江戸時代初期までは 「御前様」という位の高い貴人を敬う言葉として使われていました。しかしこちらも明治以降は敬意の意味が無くなってしまい、目下に対して使う言葉として定着してしまいます。

 

現代の「貴様」の意味と使い方とは

キサマ

それでは現在の「貴様」の本当の意味ってどうなってるんすかね?ということで、デジタル大辞泉の解説をご紹介します!貴様の意味と使い方とは

1,男性が、親しい対等の者または目下の者に対して用いる。また、相手をののしる場合にも用いる。おまえ。「―とおれ」「―の顔なんか二度と見たくない」 

2,目上の相手に対して、尊敬の気持ちを含めて用いた語。貴殿。あなたさま。[補説]中世末から近世中期までは文字通り尊敬の意を含んで用いられたが、それ以降はしだいに尊敬の意は薄れ、近世後期には現代とほぼ同様に用いられるようになった。「―もよろづに気のつきさうなる御方様と見えて」〈浮・一代男・一〉

 

となっています。2では、まだ尊敬語としての意味も含まれているようですが、日常会話の常識としては、やはり「貴様」を目上の人に使ってしまうのは、失礼にあたってしまいます。

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二人称の単数代名詞の例

二人称の種類って沢山ありますが使い方ってご存知ですか?調べてみると沢山あります。

 

【普通の人】

あなた

自分と同じ立場の相手に対して、軽い敬意をはらって指す言葉。先生や両親に対しては失礼にあたります。

昔はよくドラマなんかで妻が夫に対して親しみを込めて「あなた」と呼んでたのをよく見かけますが、最近は親しい人には「名前+さん」が一般的。よそよそしい感じがするってことで名前や身分が不明な相手に対して使うそうです。

 

そちら、さき

「そちら様」「先様」という使い方が一般的で、ビジネスシーンで相手に対しての尊敬語として使う機会が多いです。

 

お宅

「オタク」の語源にもなった相手の呼び方だそうです。自分と対等や目下の人に使う言葉で、けっこう横柄な印象になる呼び方です。関西では「おたく様」という言い方は一般的ですが、こちらは失礼にはあたらないそうです。

 

【親しい人】

お前

男性が友達や奥さん、子供に対してなど、同等の立場の人に親しみを込めて呼ぶ場合が多いです。時と場合によっては相手に不快にさせてしまう呼び方なので要注意。

よく時代劇などでは奥さんが旦那さんに対しても、お前にさんをつけて「お前さん」と呼んでいました。

 

あんた

東日本と西日本では親しみの度合いが変わります。東日本ではけっこう突き放した感じのテイストに聞こえますが、西日本では親しみがこもった呼び方。

 

主に男性が同等または目下の人を呼ぶのに使われているそうですが、現在は女性も時に使っています。よくドラマでも部下に対して「君さ〜」なんていい方してるシーンありますよね。

昔は恋人に対しては使わなかった呼び方だそうですが、今ではお互いに「君」と呼び合っている人もいるそう。歌の歌詞にも「君」という二人称がよく使われていますよね。

 

わい

九州ではお前がなまって「わい」になったそうですが、他の地域では一人称としても使用されるようです。

 

てめえ

「手前」という本来は一人称だった呼び方がなまったもの。江戸っ子っぽい言い方ですが、喧嘩ごしに使うことが多く、紳士淑女は使うことはない呼び方。

 

おのれ・おんどれ・おんどりゃあ・われ

「己」や「我」などの、一人称が変化した言葉で、相手に対しては敵対言葉なので、普通の人はあまり使わない呼び方。近畿中部地方では、「われ」は親しい人に日常的に使っている所もあるようです。

 

【古い呼び方】

なんじ・そち・そなた・そのほう

貴君・貴殿・貴公・おぬし・うぬ

 

 まとめ

皆さん友達や家族など、親しい人は大体〇〇さんや〇〇ちゃん、〇〇くんと呼んでるかと思いますが、「あんた」や「お前」など、二人称で相手を呼ぶ場合は場合によっては突き放した感じにも聞こえてしまいますので、使う時は注意が必要ですね。

ビジネスシーンではもっと気をつけないといけません。場合によっては会社のメンツにも関わってしまうことなので、キチンとした尊敬語を使えるのは社会人として最低限の常識ですよね。

冒頭で述べた面接の際に面接官に対しては、「〇〇様」と名前に様を付けて呼ぶか、「御社」という風に面接官一人ではなく会社に対しての呼び方をするといいと思います。

日本語は言い方も沢山あってややこしい部分がありますが、そこがまた楽しい所です。言葉は時に凶器にもなってしまうので、慎重に選んで使いたいですね!