食事でお茶を飲むのはマナー違反?知られざる和食の文化とは

近年は日本の食文化も欧米化してきて、様々な国の料理も気軽に食べられるようになりました。

ファーストフードやオシャレなカフェも私達の生活の中に溶け込み、ランチやセットメニューでもドリンク・ドリンクバーが付いてたり、食事と一緒に飲み物を飲むなんてことは何の違和感も感じません。

最近ではコンビ二に行くと、おにぎりとお茶を買うと割引されるキャンペーンもやっていたりと、食べ物+飲み物は一緒に摂るスタイルが一般的ですよね。

茶道具

しかし、伝統的な和食のお作法では、食事とお茶を一緒に摂るのはマナー違反になるという常識があったのは皆さんご存知ですか??

今ではそんなにとやかく言われることはありませんが、意外と知らない和食のマナー。今回は、いざという時に知っておくと役に立つ情報をお届けします!

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和食で食事とお茶は別々がマナー?!

緑茶

日本の家庭でも一昔前は、幼少期から食事の時のしつけでお茶は飲まないようにと教わり、食べ終わってからお茶が出てくるスタイルが一般的だったそうです。

しかし現代では食文化も多様化され、気軽に飲めるペットボトルなども普及したことも相まって、食事中の飲み物に関してとやかく言われることは滅多になくなって来ました。

管理人も食事中にお茶を飲むのはNGというのは、お恥ずかしながら初めて知りました(汗)(;ω;*)。

日本では昔からお茶を食前や食事中に飲むのはマナー違反と言われているのは、和食では

  • 食べ物とお茶を一緒にとると素材の美味しさが薄まってしまう
  • 渋み成分が口内に残るため、旨味を損ねてしまう

という理由だそうです。

和食は素材の味を活かした食材や、繊細な味付けが多いので、じっくり味わうためには確かに風味が強いお茶は合いません。そして一汁三菜で汁物がついているので、水分を摂ることができます。

 

 

日本料理店ではどのようにすればいい?

料亭

今でも格式の高い懐石料理店などでは食後までお茶が出されない所もあり、ほうじ茶や煎茶が食事中に振る舞われる所もありますが、出来れば食事が終わるまで飲まない方がいいとされています。

確かに和食はそんなに味付けが濃いものもないですし、お吸い物などの汁物があるので、お茶を飲まなくても大丈夫そうですね^^;。

 

現代ではそんなにうるさく言われたりはないかと思いますが、宴会などで長時間になった場合、飲めない方はお茶・お冷ではなくてソフトドリンク、どうしても喉が渇いた場合は席を外してお水を貰うという手段もあります。

会社やフォーマルなお食事会など、格式の高い料理店で食事をする際は、少々堅苦しいですが社会人としてわきまえておきたいところですね^^;。

 

ではいつからそのような食事とお茶のお作法が浸透してきたのでしょうか。ヒントは日本の伝統文化である茶道にありました。

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和食の歴史って?

お茶

日本の伝統文化には「茶事」がありますが、安土桃山時代に茶道を確立させた茶人の千利休は、日本の

「わび・さび(侘・寂)」=質素で静寂なもの

を尊ぶ精神性を大事にし、「わび茶」を完成させました。豪華絢爛ではなく、質素でもおもてなしの心を大切にする茶道です。

そこで客人たちにお茶を最大限に美味しく頂いてもらうために編み出したのが、食事も伴った茶事でした。

格式の高い茶道では濃茶を点てるのが一般的ですが、濃茶はその名の通り抹茶の濃度がとても濃いため、空腹では胃に良くないですし、十分に楽しめません。そこで登場したのが、濃茶、薄茶を出す前の腹ごなし的な簡単なお食事、「懐石料理」でした。

今では懐石料理というと、豪華な和食といったイメージがありますが、元々は本格的にお茶を嗜むための、ちょっとした腹ごなしだったんですね。

 

確かに、本格的なお茶を楽しむために腹ごしらえをしているのに、食事の際にお茶下さいなんて言ったらだいぶ失礼になってしまいます…^^;。

ここから和食では、食事とお茶を分けたスタイルが確立していったのではないでしょうか。

懐石料理も日本古来からの「一汁三菜」を基本にしていて、質素でもお腹を満たし体を温める料理という意味が込められているそうです。

それから戦国時代以降には大衆料理店などが普及しはじめ、現代の和食に通じる食文化が発展していきました。そして現在の和食のスタイルが確立したのは、洋食文化が日本に入って来た明治時代の文明開化以降と言われています。

 

まとめ

ユネスコの無形文化遺産にも登録された日本の誇るべき食文化である「和食」。

その奥深い真髄には、素材の味を活かし、まごころを込めて料理を作るという亭主の心遣いと、料理を最大限に美味しく頂いて感謝の気持を忘れない客人との究極の「おもてなし」の心が掛け合わさった結晶だったのですね。

精魂込めて料理を作ってくれた方の素材の味を大事にし、お茶は飲まない。このマナーが人々に浸透したのもうなずけますね。

日本人の忘れかけてた相手を思いやる心、そしてわび・さび。

皆さんも、ご飯を食べる際は古き好き日本人の食文化に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。

 

 

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